兵庫県議会議員 くりやま雅史
ホームプロフィール議会活動政策理念活動レポートインターンシップご意見

議会活動一般質問(兵庫県議会)2017年6月6日 代表質問内容

2017年6月6日 代表質問内容


1 有事に備えた危機管理について

【口述内容】
 北朝鮮が、日本海側へ向けて弾道ミサイルなどを繰り返し発射する状況が続いております。朝鮮半島を含めた日本海近海の情勢がいつにも増して緊迫しています。新聞等の報道によりますと、更なるミサイルの発射や核実験の可能性まで指摘されています。
 さて、地方公共団体ではミサイル発射の防衛や、核実験の抑止のための外交など、直接的な行動を取ることはできませんので、基本的には国がアメリカ、韓国、中国との相互の連携の中で、どう対処するのかを検討してもらわなければなりません。しかしながら、日本海沿岸を有している兵庫県としては、万が一の時には、国民保護計画に基づいた武力攻撃事態等への避難・救援などの対処を進めていかなければなりません。有事の際に、兵庫県としてどのような初動対応をとるのか、県民がどのような心構えをすべきかという危機管理について、今こそ緊張感を持って取り組まなければならないのではないかと考えております。また、国から地方公共団体に対して、住民避難訓練の実施について要請があったと聞いています。
 そこで、県は現在の情勢をどのように受け止め、県民の安全を確保するためにどのように取り組むつもりなのか、ご所見をお聞かせいただきたいと思います。

 また、朝鮮半島からの避難民対策について、知事は4月18日の定例記者会見で、「兵庫県も日本海側を有しているので、大勢の難民が押しかけてくる可能性も考える必要があるかも知れない。これは既に過去にシミュレーションを行っている」と述べられました。内容については公表をするつもりはないとのことでしたが、とても気になるところです。
 避難民の受け入れについては、基本的には入国管理局の仕事でありますので国の業務となりますが、現実的にはボート等でどこからかの海岸から入国する可能性がありますし、そういった際には人道的支援という観点において、地元沿岸市町や兵庫県として身柄の収容場所の確保などの取組みがなされるのではないかと考えています。そのような状況になった場合、治安の混乱も懸念されることから、警察をはじめ、各機関との連携も重要になってくると考えています。
 そこで、万が一避難民が兵庫県に逃げてきた場合、どのように対応するのか、またどのような備えがあるのかについて、ご所見をお伺いしたいと思います。

【井戸知事 答弁】
 相次ぐ弾道ミサイルの発射や更なる核実験の兆候など、朝鮮半島情勢は緊迫した事態が続いています。県としてできることは限られていますが、万が一の事態を想定し、備える必要があると考えます。
 県としては、24時間監視・即応体制の下、市町とともにJアラートや緊急情報ネットワークシステムなど、国からの情報伝達手段を整備しております。初動体制の確保や事案発生時の住民への迅速な情報伝達に努めます。
 今年度、日本海への4回4発のミサイル落下時には、いずれもJアラートは作動しておりません。しかし漁業無線によって日本海で操業中の漁船の安全を確認しました。本県方面に飛来する可能性がある場合には、Jアラートが作動し、市町の防災行政無線や携帯電話の緊急速報メールにより住民に避難を呼びかけることになります。国が作成した飛来時の避難行動の留意点については、県や市町のホームページ、SNS、広報紙等で周知を行っています。
 しかしながら、この国の周知内容が不十分、不明確であります。関西広域連合としては国に対しまして、飛来時の避難行動についての国民理解を深めること、関係機関がとるべき対応の明確化などにつきまして、申し入れを行いました。住民避難訓練については、国の動向や他県での実施状況を踏まえつつ、平成29年度、山口、山形、新潟の3県で行っていますが、これらの状況を踏まえつつ、市町と調整して参ります。
 避難民対策ですが、万が一の備えとして、多数の避難民が流入するとの想定の下で、まず入国管理局や海上保安庁、自衛隊、県警、市町との連携をどのように図るのか、次に一時的に収容する施設を前もって定めておく必要がありますのでその選定、3番目にバスによる移送手段を確保する、4番目に収容施設や移送の警備などの対応手順についてシナリオを事前に作成する必要があると考え、作業を行っております。
 今後とも、国、市町をはじめ関係機関と緊密に連携して、県民の安全確保に万全を期して参りますので、よろしくお願いします。

2 教職員の労働環境について

【口述内容】
 教職員の突出して多い超過勤務時間については、これまでにも多く質問として取り上げられ、教育委員会としても「教職員の勤務時間適正化新対策プラン」などを通じて、その労働環境の改善に努めてこられてきたところであります。しかしながら、昨今の企業等における残業時間の見直しや休日の取得奨励、ワークライフバランスの推進などが進む中において、特に教職員の労働状況だけは未だ改善されているとは言い難いと感じ、私は「早く何とかして改善してあげたい」とずっと以前から強く思っていました。
 さて、先般の新聞報道にありましたが、文部科学省が行った2016年度の教員勤務実態調査結果によりますと、学校内勤務時間は10年前より増加しており、週60時間以上勤務している教諭が小学校で33.5%、中学校で57.6%にのぼったとされています。これらの教諭は、週20時間以上の超過勤務が常態化しており、おおむね月80時間超が目安とされる「過労死ライン」を上回っています。
 兵庫県においても昨年の6月から7月にかけて同様の調査が行われましたが、週平均の超過勤務時間数は、小学校教諭で17時間17分、中学校教諭で26時間15分となっていました。いずれも月80時間を超える「過労死ライン」に迫り、または超えている、劣悪な労働状況が今も続いていると言える調査結果でした。
 県はこのような超過勤務の労働状況を受けて、「定時退勤日」の完全実施や、「ノー会議デー」、「ノー部活デー」に取り組み、または校務・業務の効率化や情報化の推進等を進めておられますが、結果的には前回の平成24年の調査と比較しても超過勤務時間は横ばい、若しくは増加しているという結果になりました。もはや、これらの取組みだけでは限界があることは明白であり、今後は業務の分離、職員増による分担、外部委託など、思い切った取組みを進めなければ、超過勤務時間の大幅な改善には繋がらないのではないかと考えています。
 巷では、教育現場は「ブラックな職場」とも言われているようです。「教職員の時間外労働にも上限規制を設けて欲しい!」との教職員の声もあります。最近の新卒の就活で学生が重視するポイントは、まさにこの「残業時間が多いか、少ないか」、「休日をきちんと取得できるか」だそうです。企業は、優秀な人材を確保するために、残業時間が減少していることなどを、データを持ってアピールするようになってきています。そんな中、教職員には「俸給月額の4パーセントに相当する教職調整額」を支払っていることを良いことに、まさに「青天井」とも言える超過勤務が常態化しているのではないでしょうか。
 教職員の良心や情熱に甘えて、県教育委員会は健全な労働環境を整備していない、出来ていないのではないでしょうか。雇用主である兵庫県として、どのようにお考えか、ご所見をお伺いします。

【高井教育長 答弁】
  近年、学校現場では、「いじめ等の問題行動」など、教育課題が複雑化・困難化するとともに、「保護者対応」などによる業務が増加する中、教職員の時間的・精神的負担が増加し、その対応が全国的に求められています。
 このため、平成21年度から2期にわたり、「定時退勤日」や「ノー部活デー」の奨励などの「教職員の勤務時間適正化対策プラン」に基づき、取組を進めてまいりました。しかしながら、平成28年度と24年度のこの4年間の「勤務実態調査」を比較いたしますと、会議など学校運営に関わる時間が減り、児童生徒の指導に関わる時間に充てられるといった形で、児童生徒と向き合う時間の確保という観点では、一定の成果が見られましたが、トータルでの超過勤務時間の縮減には至らず、十分な成果が得られたとは言い難い状況にあります。
 超過勤務時間を、週あたり約8時間縮減させることができた学校がある一方、ほとんど変化が見られない学校もありまして、学校間の取組の格差が大きいということ、それから効果的な取組みがわからず漫然とした取組になっているということ、それから、学校の中でも教職員間の温度差もあって、学校全体での取組みとなっていない等の課題も見られたところです。
 こうした課題を踏まえて、今年3月には、「勤務時間適正化プラン」の新しいものを作り、そして、そこでは50の業務改善の優れた取組を示した先進事例集をまとめました。「定時退勤日」「ノー会議デー」「ノー部活デ―」の完全実施、そして、今申した先進事例の積極的な活用を中心に、学校、市町教委、関係団体と連携を密にしながら、実効性ある取組を積極的に展開してまいります。
 ただ、抜本的な負担軽減には、ご指摘のようにこれで十分とは言えないというふうに認識をしています。国における教職員定数の改善、あるいは部活動の在り方の見直し等が必要でございます。現在、国において「チーム学校」としての業務分担、具体的には、教員がやっている仕事の一部を、事務セクションを拡充してそこに委ねるといったようなこと、それから、部活動の外部委託等の検討も始まったところです。急速な改善は、現在の財政事情のもとでは、なかなか進めるのは難しいと見込まれますので、それらの動きを注視しながら、私共として、任命権者として、「勤務時間適正化推進プラン」を市町教委と共に着実に進め、児童生徒と向き合う時間の確保とワーク・ライフ・バランスのとれた生活が送れるよう、これからも努めてまいります。

【再質問】
 私も、小中学校の先生方とお話をすることがあります。先生方から、「自分の家族と過ごす時間がない」というふうなお声を聞くことがあります。また、新聞でも出ていましたけれども、若い先生方が異性とお付き合いする時間も確保できないというような報道もあって、それが結婚に結びついていないということも書かれておりました。
 小中学校では、先ほど教育長からもありましたように、いじめ対応、あるいは特別支援の関係、そして不登校、いろいろと対応すべき仕事が増えていっている中で、また英語の教科化も進んでいます。先生方の多忙化に拍車がかかっている状況ではないかと思っています。本当に憂慮しております。
 再質問ですが、兵庫県庁、産業労働部では、ずっと県内の企業にワーク・ライフ・バランス宣言をしてくれということで取り組んでこられました。1,400社以上にこれまでやってもらい、優れた取組みには表彰もしてきている。そんな中、遅まきながら、今年の4月に兵庫県庁としてワーク・ライフ・バランス宣言をしたということで、片山産業労働部長も、胸をはっておっしゃっていました。
 そのワーク・ライフ・バランス宣言の内容ですが、基本的に休日の超過勤務原則禁止。休日の勤務は原則禁止なんです。それで、もしそれが必要な場合は、知事が定める場合に限ると書かれていますし、超過勤務の上限時間も定められています。私はこの対象者について確認させてもらいましたが、この兵庫県庁ワーク・ライフ・バランス宣言の対象者は、知事部局だけでしょうか。もちろん、教育委員会、警察も入るのでしょうか。実は人事課に確認しました。教育委員会にも県警察にも同様の対応を検討してもらいたいと、そういう見解だったんです。その点について、どうお考えか、教育長からご答弁いただければと思います。

【井戸知事 答弁】
 任命権者がそれぞれ異なりますので、基本的には、知事部局の職員の任命権者としての知事が宣言を出したということであります。あと、教育委員会と公安委員会は、このような知事部局の宣言に準じて、それぞれ任命権者として適切な対応をしていただくことが期待されている、こういう状況であるということでございます。

【高井教育長 答弁】
 私共では、ワーク・ライフ・バランス取組宣言の精神は大変重要なものと考えておりまして、先ほど申し上げた教職員の「勤務時間適正化推進プラン」の主だった柱として、超過勤務の縮減、子育て・介護と仕事の両立支援、働きやすい職場の実現といったような要素を織り込んで実行しているつもりでありますが、ただ休日の超過勤務を機械的に制限するとなりますと、部活動の対外試合はほとんど休日ですし、生徒指導の事案だとか、保護者からの相談だとか、これは休日だからなくすというわけにはいきませんので、なかなか機械的に職員と同じ形の「たが」をはめるというのは難しかろうというようなことで、規則の制定には至っていないものでございます。
 ただ、国においても、今申し上げたような問題意識は大変強く持っていただいているので、国においても、部活動指導の上限時間の設定といったような様々な検討が動いておりますので、この動きを注視しているところでございます。 

3 認定こども園を含む保育の質の向上について

【口述内容】
 兵庫県は、姫路市内の認定こども園が、認定を受けた定員とは別に多くの私的契約利用児を受け入れていたことや、虚偽の報告を行っていたことなどが認定取消処分の理由に該当するとして、全国で初めて認定こども園の認定を取り消しました。その後、県は県内すべての認定こども園400園を対象に、園児数や職員数、園庭の面積、収入の状況、給食に関することなどを確認するため、実態調査票を4月に発出し、今月にはその調査票の確認、集計、分析を行うことになっています。
 また、5月9日に開催されました県の諮問機関「認定こども園審議会」での協議を踏まえて、「認可・認定手続の見直し」や「指導監査等の強化」、「職員等に対する法令遵守研修の実施」など、再発防止策を7月中旬には取り纏める予定と聞いております。
 そういった取組みを進める中で、実態調査の結果は7月に発表されることになっておりますが、お子さんを預けておられる保護者の皆さんは、おそらくその調査結果を見て、自身の実感や保護者間の情報とを比較しながら、認定こども園の実態がどうであるかを確認するのだろうと思います。調査結果と保護者の間で、園の実態に対する認識が同じであれば良いのですが、仮に異なるような声があがった場合には、何らかの対応が必要になるのではないかと考えております。
 さて、私は今回の事態を受けて、最も重要視しなければならないと思ったことは、言葉を話すことの出来ない乳幼児に対して、十分な食事の提供がなされていなかったことではないかと感じています。閉鎖された空間の中ですから、適切な食事の提供がなされていたかどうかは、園の中に入ってみないとわかりません。現在行われている実態の調査や、再発防止策による監査等の強化などで、今後は適切な保育が維持されるとは思いますが、今一度、保育の質の担保についてどうするべきなのか、県として総合的に検討するべきではないでしょうか。食事をはじめ、子どもの成長に欠かすことの出来ない「遊び」や「お昼寝」、「おやつの摂取」などが適切に行われているのか、また認定こども園の特色でもある幼児教育についても確認しなければなりません。
 保育は認定こども園だけでなく、県内の多くの認可保育所や小規模保育事業所等でも実施されています。保育所等への指導は基本的には市町の役割ではありますが、県としても県内すべての保育の質を担保し、向上するための対策や取組みについて検討すべきではないかと考えておりますが、当局のご所見をお聞きしたいと思います。

【井戸知事 答弁】
 まず、認定こども園を含む保育の質の向上についてお答えいたします。
 保育の質の確保に向けて、従前より医務室の設置義務などの独自基準による認可条件を設定したり、保育士の配置の数の改善を独自に行ったり、保育士の処遇改善、園長等の研修など、様々な取組を実施してきました。このような中で今回の不正事案が発生しましたので、更なる保育の質の向上に向けて、認定こども園審議会等の意見を聴きながら、再発防止策を検討しております。遅くとも7月には取りまとめます。
 この検討の内容の第一は、認可とか認定の段階におきまして、認定こども園審議会の審議範囲を、従来は幼保連携型のみでありましたが、全類型へ拡大したいと考えています。幼稚園型、保育所型、地方裁量型についても同様です。審議会委員による現地調査の実施を行う、地方裁量型の園長に対しては、実務経験年数や社会的信望等の要件を課すことも検討しています。
 二つ目に、指導監査は、抜き打ち監査などの活用による牽制効果を強化することに加えまして、新設した施設や認定こども園に移行した施設は1年以内の早い段階で実地監査などを行うこととしたいと考えます。また、監査調書についても、ご指摘の食事の提供や幼児教育などの項目の拡充を図ります。そして、栄養士等と連携した指導の充実も図って参ります。さらに、県と市町との監査能力の向上のための合同研修の実施や、今後は県・市町が互いに連携した同時監査も検討したいと考えています。
 三つに、園長等に向けた法令遵守の研修や、公益通報者保護制度の周知徹底、各施設での第三者評価の導入などを推進して参りまして、各々の施設の自主的な点検と改善が行われるように働きかけていきます。また、保護者への情報公開を徹底しまして、その内容が実態と異なる場合は、必要に応じ、指導監査につながる仕組みを作って参ります。
 これらの取組を展開することにより、県内の保育の質の確保につなげ、認定こども園等に対する県民の信頼が確保されるような環境整備を進めて参ります。

4 若者流出対策及び地域創生としての首都圏本社機能の県内移転促進について

【口述内容】
 人口減少や若者の県外流出が続く中、県としては県内37大学との就職支援協定の締結や、高校生への県内企業ガイドブックの配布、各種のUJIターン施策や東京カムバックセンターの設置など、多角的に県内就職の促進や地域創生に繋がる施策を展開されています。しかしながら、今後もその対策を継続、あるいは強めていかなければ、売り手市場の就職市場において、魅力的な企業が集まる東京や首都圏、大阪へと若者が流出する傾向には歯止めをかけられないのではないかと考えています。
 私はこの1年間、産業労働常任委員会の委員長として、「人口減少時代における雇用創出と就業人口対策について」を特定テーマとして、委員会の皆さんとともに調査研究を進めて参りました。先日、この特定テーマ調査活動、研究結果を取りまとめたところでありますが、私なりの結論としましては、多くの魅力的な企業が集まる東京に少しでも近づけられるよう、国の支援も借りながら、何とか東京にある本社や本社機能を兵庫県内に移転できないか、どうすればできるのかということを課題にして締め括ったと認識しております。
 そんな中、昨年9月、建設機械大手のキャタピラージャパンが、明石市の明石事業所に本社機能の一部を移す方針を明らかにされ、移転されました。経理や総務など管理部門の一部で、100人規模の移転となったそうであります。これは大変嬉しいニュースだったのではないかと思います。
 兵庫県は、首都圏などから本社機能を移した企業に対して、法人事業税や不動産取得税の軽減、設備投資費用の補助などを実施されていますが、首都圏からの移転企業数はキャタピラージャパンなど、まだまだ数えるほどです。
 現在、全国の自治体間では本社機能誘致策の競争がかなり激しくなっており、各地で独自の優遇措置を強めています。例えば、長野県では法人事業税を3年間で95%減額、富山、石川両県では90%減額しています。法人事業税以外では、石川、長野、富山の3県が不動産取得税の減額措置を設けていますし、鹿児島県では6,000万円を限度に移転経費を補助、福島県は固定資産税の減額措置を行っています。
 税制面での優遇や移転経費の補助等の自治体間競争は、イタチごっこのようになっており、いずれはチキンレースのような様相になるかも知れません。そんな中、私は一番カギを握っているのは「兵庫ゆかりの企業、経営者」に対して、兵庫県内移転を働きかけることではないかと考えております。既に、兵庫県の東京事務所やひょうご産業活性化センターの職員さんが、兵庫ゆかりの企業や経営者へのアプローチを続けていると聞いております。その手応えはいかがなのでしょうか。この活動をもっと強めれば、本社機能の移転の可能性が広がるのではないかと考えております。
 若者流出対策及び地域創生としての、首都圏そして大阪府や関西圏にある企業の本社機能の県内移転促進について、今後の展開と可能性をお聞きしたいと思います。

【井戸知事 答弁】
 企業の立地は、地域の雇用を生み、人の流入を促し、地域経済を活性化させる。そのような意味で、地域創生の実現を目指す本県にとって極めて重要な意味があります。とりわけ、研究所を含む本社機能の立地促進は、高度な人材の確保や、定着を図る上で大きな効果が期待できます。県としては既に、設備投資補助や法人事業税の軽減、ただ長野県のような95%減免までは至っていませんが、多自然地域で1/2、一般地域で1/4という減免ですが、法人事業税の軽減、不動産取得税の軽減、雇用助成といった優遇措置を組み合わせて誘致に取り組んできました。
 あわせて、県内企業の事業所の拡充や、新規立地に際して、拡張用地や新規立地用地の確保について弾力的な取り扱いも含めて進めてまいります。昨年9月には、キャタピラージャパンが東京都世田谷区から明石市へ、また先月には、東洋ゴム工業が、大阪市西区から伊丹市へ移転するなど、平成27年度に支援制度を設けて以降、淡路のプライミクス、篠山の相互印刷を含む14件の本社機能立地が実現しました。
 企業の立地は、人口の社会増対策、若者の地元定着に大きな効果があります。全国の地方公共団体間での競争となっている面は否定できません。このため、手厚い支援策に加え、本県の持っている充実した住環境、質の高い教育環境、優れた交通アクセス、世界有数の科学技術基盤などの総合力をどのように理解してもらえるかがもう一つの鍵だと思っています。
 キャタピラージャパン、東洋ゴム工業の2社は、移転の決め手となったのはいずれも本県が創業の地、ゆかりの地ということでありました。このため、ターゲットとして、東京兵庫県人会や高校の同窓会なども活用して、兵庫にゆかりのある企業や本県出身の経営者へのアプローチを更に強化していきます。
 平成29年度は、新名神高速道路が開通します。大阪府などからの本社移転も大いに期待ができるのではないかと考えております。本社機能を含む企業誘致に努め、兵庫で生まれた若者が、兵庫の魅力ある企業で働くことができる、そのようなふるさと兵庫の創造に向かって努力してまいります。

【意見】
 若者流出対策、首都圏本社機能移転についてですが、私は議員インターンシップというのを14年間続けてきて、約140名の学生を受入れてきました。体感としては半分以上が東京で就職している気がしています。
 最近県が進めていること、知事が進めていることは、県内に良い会社が沢山あることを是非知ってもらいたい、知ってもらわないと就職できないだろう、という考えのもとの取り組みだと思いますが、そもそも良い会社であっても、学生が行きたいと思っていない、あるいは魅力的と思っていないのかも知れません。そういった意味で、私は学生にとって魅力的な会社を兵庫県内に立地させる、移転させるということが必要なのではないかという意味で質問をさせていただきました。
 知事の答弁にもありましたが、県職員の皆さんの同級生が、企業の偉いさんになっているかもしれない。例えばそういった人脈を通じて、東京にある会社が兵庫に戻ってこないか、というアプローチができるのではないでしょうか。県人会だけではなく、様々なルートを通じて、兵庫県をもっと魅力的な働く場所として輝かせていかなければ、学生がそっぽを向いてしまうのではないかと危惧しているので、そういった取り組みも含めて是非がんばっていただきたいと思います。

5 対策の検討が必要な踏切について

【口述内容】
 県では、踏切による渋滞の解消や歩行者の安全確保を図るため、現在は平成26年度から30年度の5ヶ年を計画期間とした「踏切すっきり安心プラン」を策定、実行中であります。「開かずの踏切」や「歩道が狭く危険な踏切」とされる問題踏切80ヶ所を半減する目標のもと、連続立体交差化や踏切歩道部の拡幅などの対策に取り組んでおられます。そんな中、昨年6月に国土交通省が、緊急に対策の検討が必要な踏切として全国で1,479 箇所を抽出しました。そのうち、兵庫県内で抽出された踏切は、国・神戸市管理のものを除いて71ヶ所でした。
 これら71ヶ所の踏切のうち、県が「踏切すっきり安心プラン」で対象としている踏切が48ヶ所ある一方、プランでは対象とされていない踏切が23ヶ所ありました。現在のプランの見直しの際には、もちろん追加の対象になるのかもしれませんが、プランで対象とされていない踏切が23ヶ所あることに対する見解と、この23ヶ所への対応について、県としてはどのようにお考えでしょうか。ご答弁願いたいと思います。
 また、緊急に対策の検討が必要な踏切について、国土交通省は、新たな試みとして全国の鉄道事業者と道路管理者が連携し、踏切の交通量、事故発生状況、対策状況等の客観的データに基づき、「踏切安全通行カルテ」を作成しました。踏切安全通行カルテは、踏切の現状を「見える化」し、今後の対策方針等をとりまとめたもので、対策の実施に当たっての基礎になるものとしています。
 この「踏切安全通行カルテ」をつぶさに見ておりますと、踏切道がある各市域の今後の対策方針のコメントにバラツキがあることが窺われました。対策には、踏切の除去を目指すことや、踏切内の歩道の安全対策、バイパス道路整備、アンダーパス整備、踏切の拡幅、踏切支障報知装置の設置などがありますが、物理的に対策が難しいものや多額の費用がかかるものが多く、自治体間の財政状態によって、対策の検討が進んでいる自治体と、進んでいない自治体が顕著になっているように感じました。例えば、対象踏切が多い尼崎市をはじめ、姫路市、加古川市、宝塚市などでは、「財政状況が厳しいため鉄道事業者との協議がいまだなされていない」というコメントが散見されました。カルテ作成から時間が経っていないものの、問題となっている踏切は今に始まったことではなく、長い間安全対策が進んでいないわけですから、将来に不安を感じざるを得ませんでした。
 また一方、列車を運行する運転士さんからの声では、尼崎市のJR東海道本線の「三反田踏切、七ツ松踏切」では、踏切が閉まっているにも関わらず、踏切内に車や人が残ったり、あるいは無理に横断しようとする人がいたりして、特殊発光信号機、つまりは踏切非常ボタンを押されて、列車を停めなければならない事態が多発していると聞いております。当該踏切では、昨年、車を通行止めにする社会実験が行われ、評判が良かったと聞いておりますが、現在は実験を終え、再び車が通行するようになり、対策が必要な元の状況が今も続いています。
 県は、このような対策方針が定まっていない踏切について、県下の自治体の取組み状況や、尼崎市で行われた社会実験の結果を踏まえ、どのように踏切対策を進めていこうとお考えでしょうか。ご答弁願います。

【荒木副知事 答弁】
 県では、平成26年度から5年間で渋滞解消や歩行者安全対策を実施し、問題のある踏切を80箇所から40箇所に半減させる「踏切すっきり安心プラン」を実施をしています。
 平成28年6月、国土交通省は交通量や踏切遮断時間を再調査いたしまして、一部選定要件を変更するとともに、新たに踏切事故の実績を要件に加え「緊急に対策の検討が必要な踏切」を指定いたしました。現行の「安心プラン」と比較しまして、交通量の増加等で新たに23箇所での対策が必要となりました。
 この23箇所のうち8箇所は、既に連続立体交差事業などの対策を講じておりまして、平成30年度までには対策を完了する見込みでございます。残る15箇所につきましては、平成31年度から始まります次期プランで対策を行う予定としています。
 次期のプランでは、現行のプランの未対策箇所も含め、周辺の土地利用、踏切前後の道路整備、通学路指定等の状況を踏まえ、歩道の拡幅、立体交差など実情に応じた対策を実施してまいります。立体交差等の事業につきましては地元調整や予算確保等で時間を要することがありますので、歩道部分の暫定的なカラー舗装化、注意喚起の看板を設置するなど、当面の安全対策を実施してまいります。
 このように問題踏切を解消するため、市町、それから鉄道事業者及び県で構成する連絡調整会議を設置いたしまして、事業の優先順位の検討、本格対策を行うまでの間の当面措置の実施等につきまして工夫をしてまいります。
 なお、「三反田踏切、七ツ松踏切」で社会実験として行いました四輪車の通行止めは、歩行者や二輪車の安全対策に大変有効でございました。このため、本格実施に向けた検討を進めてまいります。
 今後とも、ハード・ソフト両面の踏切対策に取り組み、歩行者の安全対策や渋滞解消を図ってまいります。

6 農地の活用促進について

【口述内容】
 農業就業人口の減少や営農者の高齢化により、耕作放棄地が増加していることはご承知のとおりであります。耕作放棄地面積は、農林業センサスによりますと、2015年は6,908ヘクタールとなっており、5年前より約1,000ヘクタール増えております。
 耕作放棄地の発生は、農業生産力の低下を招くだけでなく、耕作放棄によって農地が荒廃し、病虫害・鳥獣害の発生の温床ともなります。また、水管理においても不具合が生じるなど、地域全体に悪影響を及ぼします。このため、農地が耕作放棄地とならないよう、その適切な利用を進めていくことが重要でありますが、そんな中、農地中間管理機構として兵庫県では兵庫みどり公社が農地を借り受け、集約して担い手に貸し付ける農地中間管理事業を中心に、農地の活用を進めているところであります。
 さらに、県は本年度から、耕作放棄地の発生を未然に防止するため、各地域の農協などが主体となって農地の有効活用を図る仕組みとして、「地域農地管理事業」という新たな仕組みを展開されておられます。
 この事業は、農協等がコーディネート役となって、市町や農業委員会等の関係機関と連携して、地域での話し合いを進め、貸し手や借り手の意向を反映した「農地利用図」を作成するというものです。そして、その農地利用図をもとに、農地の借り手となる農協出資法人などに対して、農業機械の導入や生産・販売を担う人材の確保を支援することとなっています。本年度はこの事業を県内10ヵ所でモデル的に実施するとしており、将来的にはこの取組みを県内全域に波及させ、農地の有効活用を図りたいとされています。
 そこで、農地中間管理事業の進捗状況および「地域農地管理事業」の現在の取組み状況とともに、今後の農地の活用促進についてどのように進めていくお考えか、ご答弁をいただきたいと思います。

【井戸知事 答弁】
 耕作放棄地の発生を防止するとともに、分散し、入り組んだ非効率な農地利用を解消するためには、農地を有効に活用できる担い手に集積・集約していくことが必要です。本県では、平成26年度から農地を担い手に集積する農地中間管理事業に取り組んでいます。昨年末までの3年間で約3,000haの農地が、兵庫みどり公社を通じて担い手に貸し付けられました。しかし、昨年の貸付け実績は、既存の集落営農法人への貸付けが一巡したことなどによりまして、316haにとどまりました。つまり、初年度と次年度が多かったということなんです。今後は、貸付希望農地の更なる掘り起こしや、担い手の生産品目、栽培面積など、より個別具体的なニーズに対応したマッチングを行うなど、きめ細やかな取組を推進してまいります。
 また、今年度から新たに取り組んでいる「地域農地管理事業」でありますが、現在、JA等が中心となって、県内11カ所において、農地利用図の作成に向け、農地所有者と借り手双方の意向把握及び地域での話し合いを進めています。利用図作成の後には、新たに不耕作農地を借り受けて農業経営を行うJA等の子会社等に対しまして耕作に必要な機械や人材確保への支援を行い、不耕作農地の解消にも取り組んでまいります。
 特に、不動産業界で行われているような空き家とか空き地をですね、ホームページ上に一覧で提供できるような仕組みっていうのを検討してみたらどうかということで、現在作業を適時、順次やらせていただいております。つまり、農地の出し手と農地の利用者とのマッチングをする情報の不足を補う必要がある、このように考えてもいるところであります。
 これらの施策の着実な実施に加えまして、新たに農業委員会に設置される農地利用最適化推進委員の活動と農地中間管理機構との連携を強化してまいります。2つに、新規就農者の確保や集落営農組織の法人化等の担い手の育成を図ります。3つに、ほ場整備事業等と農地中間管理事業との一体的な推進に努めてまいります。
 今後とも、市町と農業委員会とJA等との密接な連携を図りながら、農地の有効活用を目指し、地域の活性化と、力強い本県農業の確立を図ってまいりますので、よろしくお願いをいたします。

7 兵庫県知事選挙の投票率向上に向けた取組について

【口述内容】
 投票率の向上に向けた取組については、多くの議員からこれまでに度々質問されてきたところであります。来週の6月15日に告示され、7月2日が投開票日でなっている兵庫県知事選挙の投票率向上に向けた取組についても、3月の予算特別委員会で、我が会派の迎山議員から公職選挙法の改正を受けた今後の取組について質問をしてきたところです。
 さて、兵庫県知事選挙の投票率の推移を確認しますと、前回の平成25年執行の投票率は、参議院議員選挙と同日選挙となったこともあり53.47%となり、比較的高い水準となりましたが、その4年前の平成21年の知事選挙では36.02%、さらにその4年前は33.33%という水準でありました。
 投票は民主主義の根幹であると同時に、県が様々な権力を行使する上での拠り所になるものです。投票をしない人が多い選挙で選ばれた知事が、真に信認されたと言えるのかなどという議論がよくされますが、そういった意味においても投票率の向上は大変重要であると考えております。
 昨年の参議院議員選挙から、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられました。これを契機に、若者世代に対する様々な取組も始まりました。また、公職選挙法の改正によって、大学や商業施設などの新たな期日前投票所の設置・増設や、投票所までの有権者の移動支援としての無料バスの運行等にも取り組まれました。その結果、期日前投票者数が増加するなど、一定の効果が出ていると感じております。
 しかし、投票率向上に向けた課題はまだ残っております。例えば自らの属する投票区に関わらず、投票日に駅や商業施設など利便性の高い場所で投票できる、共通投票所の設置であります。選挙管理事務の管理執行面の課題があるとは思いますが、投票所の選択肢を拡大することは、投票率の向上が期待できます。また、予算特別委員会での答弁によりますと、市町選管が今回の知事選挙に向けて新たな取組を検討中ということでございますが、新たな動きについて把握されているでしょうか。県選管と市町選管が情報交換をしっかりと行い、積極的な取組を進められることを期待しております。
 約19億円の予算をかけて実施する選挙です。投票率の向上という結果が得られるよう、意識して取り組まれていると思いますが、今回の兵庫県知事選挙の投票率について、どの程度の目標をお持ちでしょうか。また、選挙公報のインターネットでの公表や、若者世代を中心としたSNSなどへのリンクなど、情報を気軽に入手できる取組を含めて、投票率向上に向けた具体的な取組について、お聞きしたいと思います。

【立石選挙管理委員会委員長 答弁】
 兵庫県の知事選挙の投票率向上に向けての方策についてお答えをいたします。
 当選挙管理委員会におきましては、あらゆる機会を利用した選挙期日の周知徹底、若年層から高齢者まで全世代を通じた効果的な啓発、有権者が投票しやすい環境の向上の3つの方針のもと、選挙啓発に取り組んでまいります。
 7月2日の投票日を効果的に周知するため、知名度の高いはばタンを活用した映像や大学生が制作した動画の街頭ビジョンでの放映等を実施いたしますし、また、新聞等の紙媒体に限らず、フェイスブックによる情報発信にも努めるほか、各種団体、企業等にも啓発協力を依頼し、さらに世代に応じて効果的な啓発を行うため、高校生等への選挙出前講座の継続実施や高齢者大学での啓発イベント等に取り組んでまいります。併せて、投票機会を増やせるよう、県内167箇所に期日前投票所が拡充設置されます。この中には、初めてとなる洲本高校や県立大学姫路工学キャンパスも含まれております。この他、高齢者、障害者等の投票所への移動支援として、加古川市での新たに臨時バスの運行など7市町で実施される予定でございます。
 なお、ご指摘の共通投票所は、特に都市部での効果が高いと考えられますが、全ての投票区の有権者が投票可能となるため、相応の人員体制が必要であり、また、共通投票所と当日投票所のどちらでも投票ができることから、二重投票防止のためのシステムの構築等の課題解決が難しく、現在導入に至っておりません。
 もとより選挙は、国民が政治に参加し、主権者としてその意思を政治に反映できる最も重要かつ基本的な機会でありますので、当選挙管理委員会といたしましては、県民の総意を県政に反映すべく投票総参加を目標とし、あらゆる機会を活用して、7月2日の投票でございますので、語呂あわせで7月の7と2ということで「夏だ!選挙だ!」をキャッチフレーズに、選挙期日や期日前投票などの周知を図り、投票率の向上にむけて積極的に取り組んでまいりたいと思っておりますので、よろしくご協力いただきますようにお願いいたします。

【意見】
 選挙の関係でございますが、少しご紹介させていただきますと、今回は参議院議員選挙がありませんから、知事選挙単独です。単独選挙の前回は平成21年でしたが36.02%、ここを上回っていくということが目標になろうかと思いますし、もちろん究極の目標は100%ということかもしれませんけれども、市町別で確認させていただきました。そうすると平成21年の最低の投票率は29.6%で尼崎市、次いで29.9%で宝塚市。30%前半で神戸市、姫路市、西宮市、明石市などが続いていて、その一方、最高の投票率はなんと76%の神河町、淡路市ということでございます。次いで64.72%で養父市、63.92%で佐用町と、こういうことになっております。
 もうお分かりかと思いますが都市部が非常に低いということです。いまご答弁にありましたように、世代に応じていろいろと取り組まれていたり、フェイスブックを通じて、あるいは市町がそれぞれにやられていること、洲本高校のことであったりということで、積極的に取り組まれておられるので、「夏だ!選挙だ!」といって盛り上がる選挙になることを期待しておりますが、是非とも力一杯の取組をお願いしたいと思います。

前兵庫県議会議員 くりやま雅史 - 議会活動/一般質問(兵庫県議会)/2017年6月6日 代表質問内容

| ホーム | プロフィール | 議会活動 | 政策理念 | 活動レポート | インターンシップ | ご意見 |

事務所:〒663-8105 西宮市中島町11-20
TEL : 0798-69-0051 FAX : 0798-65-7670 E-mail : kuri@kurix.jp
当ホームページが提供する情報・画像を、権利者の許可なく複製、転用、販売することを固く禁じます。
Copyright(C) Masashi Kuriyama All Rights Reserved.