兵庫県議会議員 くりやま雅史
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Special2006年09月25日「くりやま雅史と語ろう」第2弾

「くりやま雅史が訊く!語る!」第2弾
ゲスト:能島裕介氏(NPO法人ブレーンヒューマニティー理事長)


1 現代の学生の生き方

栗山:能島さんが大学生の頃、私も含めて震災に遭いました。その時、能島さんは大学生として、震災の影響で教育を受けられない子供たちに対して、家庭教師的なことをやられたと聞いております。とても良い経験をされたというか、素晴らしい活動をされたと思います。さて、震災当時から10〜11年が経ちましたが、能島さんも私も現在は大学生に接する機会が多くあるわけですが、能島さん自身が学生時代にやられたことと、今の学生がいろいろな活動をされていることと比較して、優れている所とちょっと物足りない所など、そのあたりについて少し教えて頂けますか?
能島氏:僕が学生時代だった頃、10年前くらいの話ですが、その当時の学生と現在の学生を比べた時に、大きな部分ではあまり差がないかなと言う気がします。ただ小さな部分で少しずつ違っている部分があります。
栗山:それはどういう部分ですか?
能島氏:1番大きいのは社会的な背景だと思います。現代も就職が厳しいという状況ですが、特に数年前までは僕らの時よりもさらに厳しい就職状況の中で学生時代を迎えていました。その部分においてある種の緊張感というのがあったと思います。最近は今年ぐらいから就職状況がよくなってきていますが、それまでの学生というのは、就職に危機感を非常に強く感じていました。そのため、自分自身でいろいろな事を学んだり、学校での勉強に非常に力を入れていたり、そういう傾向が僕らの頃と比べると強くなっているのではないかと思います。また、サークル活動にしても、ただ遊ぶ活動だけではなく、もう少し社会的な部分を体験し、自分達で何かトライしてみようとする動きが出てきているのかなという気がします。そういったことが10年前と今とでは違うのかなという気がしています。また一方で、何か性質が似たような学生が増えてきたのかなという気もしています。
栗山:似ているというのは、我々の昔とではなくて、「性質が均一化されている」ということですか?
能島氏:そうです。僕らの頃は、比較的個性的なメンバーが何人かいて、「あいつ面白そうや」という奴が何人かいてということがありました。私のところにいる学生だけを見ているからかもしれないですけど、最近はずば抜けて面白い奴というのがあまりいないと思うんです。しかし、均一化されていても全体のレベルは高くなっているし、非常に真面目で、ひた向きで、コツコツやるのです。
栗山:その理由は何でしょうか?ずば抜けた、個性的な人間を生み出さない世の中になってしまったからなのでしょうか?
能島氏:何でしょうか。やっぱり先ほど申し上げたように、何か就職に対する危機感というものが、ある種全体を同じような方向に進めているのかなという気がします。だから、僕らの時ももちろん就職は厳しかったですけれども、それでも今ほど(就職面談で)とやかく言うこともなかったですし、そのためかみんなが結構自由気ままに、学生生活を送っていました。しかも、僕らの時は震災もあって、散りぢりになってしまって、結構みんな好き勝手やっている状況で、そんな中でおもしろい奴がたくさん生まれるような社会環境ができたのかなと思います。
栗山:学生にとって現代は、昔と比べて定型化されたやること、やれることが増えていて、逆に言うと自由度が少なくなった。それらによって個性が埋没してしまったということなのでしょうか?
能島氏:そんな気がします。本当に学生がやれる事って今はたくさんあるじゃないですか。学校の勉強もどんどんハードになってきています。しかも就職活動の時期もどんどん早くなってきていますよね。3年生の夏が終わったら就職活動というような状況になってきて、何か焦りみたいなものを感じています。やることがたくさんある中で、何か自由な動きっていうのが出来にくくなって来ているのかなという気がします。
栗山:能島さんは就職に対する恐怖感はあまり感じなかったですか?
能島氏:僕は司法試験志望だったのです。だから司法試験を受けようと思っていて、就職する気はあんまりなかったんですが、就職活動をしろと親がうるさくいうので、まあちょっとだけやっていたらたまたまいいリクルーターの方に出会って銀行に入ったんです。
栗山:就職することを選んだのですね?
能島氏:そうですね。1年だけ住友銀行に行きました。職場は大阪の天満橋支店でした。
栗山:僕は住友信託銀行の本店淀屋橋にいたんです。近かったんですね!

2 本当に大切なものとは

栗山:次は、能島さんのすごい行動力という所から質問させていただきます。何かアイデアが浮んだ時、「即座に動く人」と、逆に「考えて、考えて慎重に行動をする人」がいます。おそらく能島さんは、前者の方が近いのかなと失礼ながら思っているんです。現代は色々な場面でスピードを非常に求められている時代と思うのですが、実際どちらが重要だと思われますか?どちらも重要であると思うなら、それでも結構です。ご意見をお聞かせ下さい。
能島氏:どうなのでしょうか。最近はじっくり考えなければならないという思いをもっている人達がたくさんいる気がします。新しい活動や事業を起こすにも、しっかりとニーズ調査をして、顧客分析をして、ターゲットのセグメントをしてということで、非常に時間を要するようになってきています。ただ、こうやって考えているうちに、社会環境が変わっているというのも事実ですね。
栗山:現代は本当に変革が早いですもんね。
能島氏:社会のスピードの方が、自分が考えているスピードより速いという状況の中で、あんまりじっくり考えすぎると、その考えたこと自体が無駄になってしまうことがたくさんあります。社会のニーズがいろいろとある中で、これこそが本当のニーズだという風に、1つに固定することが困難な状況になっているのかなという気がします。そう考えると、簡単に言えば、現代は予測がつかない社会だと言えます。
予想して、予測して対策を考えたとしても、“はずれ”のほうが多いっていう状況なのかなという気がするのです。そうなってくると、実際過激にアクションを起こさないことには次の展開が見えてこないのだろうと思うのです。だから僕の所の場合は、結構学生とかスタッフに言っていますけれども、「機関銃のように撃ちまくることが大切だ」という話をしています。新しいことをするにしても、新しい事業を開発するためのサイクルというものをもっと早くしようと言っています。ある程度考えることは必要ですけど、それが長くなってしまうと、その時、その時期の社会では全く意味のないものになってしまう。もっとサイクルを早くし、いろんな事業、いろいろなプログラムを世の中に提供することによって、駄目な物は破棄させ、そして「これはいける」といった物については、どんどん伸ばしていくような戦略の方がいいのではという話をしています。
栗山:そうすると駄目な事業だと判断するタイミングが難しいと思うのですが、例えばそれを良いと思って続けているスタッフ、お客様の気持ちなんかですね。そして一方で、新しいものが生まれくる中で、組織には事業を維持するプレッシャーがのしかかってくると思います。様々な観点から「止める」ことの判断としては、理事長としてどういう風に考えているのですか?行政でもなかなか止めることができないことが多くて、反面困っていることもあります。
能島氏:まあその1つとしては収益性が基準になってしまいますね。我々は非営利組織ですから、単に収益だけで物事を考えるわけではないですが、組織として体力が十分でない状況の中で、どこまで収益の悪い事業を続けられるのかは重要なことです。けれど、そこは1つの判断基準になっても仕方ないと思います。
その一方で、いくら収益が悪くても、自分達の様々な活動をやっている以上は、止めてはならないという、ある種のこだわりの事業というのがあるのも事実で、そういったものについては、収益性だけでは判断できないことになってくるのかなと思います。
栗山:それはNPO組織であるという意義が大きいですからか?
能島氏:そうですよね。NPOであるからというか、少なくとも何らかの志であるとか、思いを持って活動を始めていますから、おそらくそれは、株式会社とかも同じことだと思うんですけど、そういった志といったようなものを持って始めた事業については、収益性が悪くてもなかなか止められないですよね。
栗山:そうですよね。時代の変革が早いこの世の中でも、人々の営みの中で「大事だ」というものについては金銭的な価値に変えられないわけですよね。
とかく最近の社会は金銭的な価値が全ての尺度だというような風潮になっています。私は政治家という立場にいると、常に改革を求められている感じがしているわけですけれども、だけどその中には変えちゃいけないものもあるのかなと思ったりもしています。その判断というのは本当に難しいですね。

3 西宮に住む子供たちに必要な教育とは

栗山:それでは話を次に変えさせて頂きます。我々は関西学院大学の同窓で、おそらくこの西宮市は我々にとって大好きな都市なんだろうと思います。
その西宮市ですが、震災後の一時期は人口が42万人から39万人まで減りました。しかし、震災後のちょうど地価の下落という環境と、我々のような第2次ベビーブーマー世代が世帯を持ち、子供を産むというような時期が重なり、また阪神間でも西宮は交通至便だと評価されて、西宮市は人口がどんどん増加して今や47万人を超え、県下3番目の都市となっています。それは嬉しいことなのですが、その影響で西宮市は全国でも珍しい多子化の状況になっていまして、各地区で保育所、幼稚園、小学校の定員を広げないと収まらない状況にあります。数年前から保育所、幼稚園では待機児童が発生しています。
私も教育問題、教育環境について議員として取り組んでいますが、教育分野でずっと関わっておられた能島さんにお聞きしたいんですけれども、教育というのはやはり国家の基礎を作る重要なものではないかと思います。無知な、純粋な子供たちに何を教えるかということは、国家の行く末、あるいは人間社会を揺るがす非常に重要なことであろうと思います。これから開催される国会でも教育基本法改正の議論がまたなされると思いますが、その教育基本法第一条には「人格を形成する」とあります。「人格を形成する」上で、一体どのような教育をしていくのか。
少子化の状況で、今よく言われていますように、1人の子供にかかる大人の目というのが、父母だけでなく父母のさらに父母、つまり6人ぐらいの大人が1人の子供を見守る環境になってきました。今までよりも増して大人が教育に力を入れる状況になってきている中で、国家としては第一義に「人格を形成」していかなければなりません。同時に世界で通用するような人材を輩出していかなければなりません。
NPO法人ブレーンヒューマニティとして、理想の教育というものがあるならばそれは一体どういうものなのか、いろんな意味を込めまして広くお話して頂けますか?
能島氏:なかなか難しい話題ですね。
まず教育というのは、それぞれの発達段階に応じて、ある程度目標設定が行われるものだろうと思っています。特に初等段階においては、1人の人間として構築し、自分自身で考えて生活していくことが出来るような基礎的な能力といったようなものを身に付けていくということが必要だと思っています。そして、そういった基礎的な能力、学力や体力といったものが形成された次に、もう少し年次の上がった段階では様々な体験的プログラムが必要だと思います。今では学校だけでなくて、地域の中にもそれらはたくさん存在していますね。そういった教育環境は非常に望ましいものだと思います。学校での総合学習の時間でもそういったプログラムがありますし、それ以外にも自然学校のようなプログラムもあります。しかし一方で、地域がそういった子供たちの受け皿に現在なっているのかというと、なかなかそうではない現状があるのかなと思います。かつては子供会のような地域の団体が非常に活発に活動されていた時代がありましたけれども、現在ではなかなかそういった活動が十分に行われていない地域があります。そんな時に、私どものようなNPO法人や、それ以外の団体で提供するプログラムが、その地域の子供たちの受け皿となれれば良いかなあと僕は思っています。
ただ、ある程度の年齢に達した子供達にとっては、こういったプログラムが絶対必要だといったような提供の仕方ではなくて、むしろいろいろなプログラムが地域の中にある中で、その子供自身ないし保護者が、色々と選択できるということが重要なのかなと思っています。
栗山:昔よりも地域における自然的発生的な「子供を見守るような組織や、繋がり」などは減少する傾向にあるかもしれませんね。だからそれを補うような団体、つまりブレーンヒューマニティさんのような団体があるわけですけれども、地域にどういう団体が存在していて、どんな種類が増えてきているのか。それを親子さんがどのように感じておられるのかということは大事ですね。
一方で、この西宮北口は特に塾が多いですね。進学をするための勉学の方に力を入れる傾向にあると思います。その中で、進学のための勉強と対比しての体験プログラム。親はどちらのほうにシフトしていけばいいのか、非常に悩むところだと思いますが、最近の傾向としてはどんな感じなのですか?
能島氏:我々のキャンププログラムに参加する子供たちは、実は低学年が非常に多いのですが、その子供たちがやがて5年生、6年生になるに従ってどんどん参加しなくなります。おそらく、その子供たちの大半は塾だとか、習い事だとか、そういうものに行っているのだと思います。このような現象は、西宮で特に顕著なのかなあと思います。何が原因なのか僕もよく分からないのですが、1つには私学への進学志向が強い地域であることが原因であるかも知れないですね。
栗山:それは、総合選抜のせいであるかも知れないですね?
能島氏:ええ、その話だとタブーに触れてしまうのかもしれませんが、僕自身は総合選抜の制度を何とかしていくことが、小学生の生活環境を変えていく上で重要なことではないかと思います。やはり、高校や中学なりの教育環境を変えていくことが、小学生自身の生活環境を変えていくことに繋がっていきます。
他には、この地域でこれだけ私学志向が強いということは、私学と公立とのバランスがあまりにも悪いと言えますよね。僕は私学がいいとか、公立がいいとか言えませんが、少なくとも今の西宮市内の公立高校が、子供たちにとっての将来を満足させるほどの対等な選択肢になり得ていないということが、僕は問題なのかという気がしています。

栗山:話を戻しまして、理想の教育の形ということですけれども、先程傾向としては、キャンプなどのプログラムには低学年の参加が多いことでした。やはり人格を形成する上では、いろいろな体験をして感じて学ぶということが、1番多感な若年の時期に必要なのではないかと僕は想像しています。歳をとってからも当然勉強になることがたくさんありますが、若年の時に基礎的な能力、学力をつけるということは、生き方の指針になるではないかと思います。質問ですが、理事長は何か特に小さな子供さんたちによく話しかける言葉がありますか?
能島氏:僕自身は特にありません。その辺りは学生たちがやってくれているのですが、僕らNPO法人ブレーンヒューマニティが低学年に対して、こういったプログラムを提供している理由としては、若い時期に「集団での行動を体験すること」が必要だろうという思いを持っているからなのです。言うまでもなく核家族化が進み、地域での繋がりが希薄になっています。「集団で行動」すること自体があまり行われなくなっています。西宮は転入出が激しい地域でもあり、なかなか地域での繋がりが作れないというような地域特性があります。我々のプログラムでは初めて出会う子供達、全部で15人くらいが2泊3日や、3泊4日を過ごします。そういった体験というのは子供達自身がいい関係をどうやって作っていくのか、集団の中で自分自身がどのように振舞えば良いのかについての学びになってくるだろうと思っています。
栗山:西宮は転勤族が多いわけですけれども、そんなプログラムを通じてだったり、或いは転勤先での新たな環境が、人間社会の中で上手く生きていく術を育む可能性がありますよね。
能島氏:他者とどのようにコミュニケーションをとっていくのか、また自分とは異なった意見や価値観を持っている人達と、どういう風に折り合いをつけて生活していくのか。我々はそんなことを体験してもらいたいと考えています。

4 西宮市の教育、NPOの役割

栗山:私は30代ですが、市議会議員という立場にいて、当然のように西宮市とずっと関わりがありますが、ブレーンヒューマニティさんも行政といろいろな関わりを持たれていて、いろいろな仕事をされていると思います。能島さんは西宮市がどのように発展してほしいかと思いますか?また、西宮市全体のことで何かビジョンをお持ちなら是非お話して頂きたいと思います。
能島氏:私はずっと子供たちと関わる活動をしていますが、西宮市も従前より教育に熱心に取り組まれています。教育に熱心な方が多く住まわれている西宮市は、教育が行政の柱の1つになっているのではないかと思います。そうしますと、今後の西宮市を考えた時に、今まで以上に「子育て環境を整備していく市」にしていくことが僕は重要なのかなと思います。少子化が進んでいる現状で、西宮市は子供が増えておりまして、それはうれしいことです。そして、この西宮市で数年間過ごし、経験を重ねていく子供たちが、10年後、20年後の西宮市を支える人材になるのだろうと思います。そういった状況が、今後も続いていることができるような教育のあり方や、行政のあり方というものが今後重要であると思っています。
NPOと行政との関わりについては、ここ数年ずっとNPOと行政の連携が必要だと他の市町村でも声高に叫ばれています。ただ、その背景は行財政改革の一貫として、低コストのNPOを利用することで、コストを削減したいということなのです。NPOが行政の行っていた業務を行うことによってコストダウンすることも考えられますし、またコストだけでなく、本当に市民自身がNPOを形づくっているわけですから、市民の声を反映させて、提供するサービスの水準が高い組織として任されることが重要だと思っています。実際のところ、まだまだNPO自身も十分な力をつけている訳ではないですし、これからまだまだ発展途上の段階にありますから、まだ行政と対等に張り合って、行政サービスよりもNPOのほうが良いのだということを、自信を持って言えるかというとなかなかそうではない状況なのかなと思います。そのためには、NPO自身の中でも切磋琢磨しながら、自分自身のサービスのクオリティーを高めていくようなことを、NPO相互にやっていく必要があるのかと思っています。
栗山:1つ目の部分で、教育の部分について質問をします。2つ目は、NPOとの関わりでしたいと思います。
1点目については、西宮市が他の市町村に比べて、教育制度が非常に良いだとか、子育て環境が良いだとか言われる基準です。例えば、総合選抜制度の話が出ていますけれども、エリア的な問題として宝塚や尼崎や芦屋に比べて、西宮市の教育は良いと言われるその基準はどのように持つべきなのか、能島理事長はどのようにしたら良いと言われるのでしょう?その辺りを教えて頂きたいと思います。
次に2点目のNPOとの関わりです。ご承知の通り、戦後は多くのことを公で担わなければ市民生活を向上出来ない状況にありました。今のNPOのような担い手がいないという現実があったと思うのですが、今こういった成熟してきた社会が構築されてきて、行政よりも低コストでサービスを提供できる団体が増えてきました。これは社会の成熟、進歩によるものだと思うのですが、そういうことによって、本来公が担うべき役割の範囲と言われているものが、どんどん変わってきているのではないかと思っています。むしろ、行政府の規模は、今後小さければ小さいほど良いのだろうと私は思っています。
民力が上がってきているこの世の中で、NPOに期待するものというのは、公から依頼されたものではなくて、自然発生的に「地域のことを地域自らでやっていくこと」、その役割だと思います。このような状態が大変健全であると思いますが、能島さんがおっしゃったように、NPOがきちんとした法人として存続ができる状態にすることが、今後重要になってきますので、その点、今後の展望をお聞きしたいと思います。
能島氏:まず1点目です。他の市と比較して、西宮市の学校教育がいいとか、子育てがしやすいと思われているかどうかなのですが、どうなのでしょうか。僕もなぜ、西宮市が魅力的だと思われているのか実際分からないのです。ただ、実際住んでみれば、確かに非常に環境も良いですし、交通の利便性というものも非常に高いですから、その2つが上手く折衷した街づくりになっているのかなという気はします。北には山がたくさんあって、自然を味合うことが出来ますし、南に行けば海もあります。そういった環境が子育てというか、住むのに良い場所なのかなと思います。
子育てや教育の分野で考えれば、保育園など、仕事をしているお母さん方が働きながら子育てできる環境を、市がどう整えていくのかというのは重要なことだと思います。NPO法人ブレーンヒューマニティは、幼児の領域には入っていないですからまだ分からない部分が当然ありますけれども、小学校低学年の子供と接していても、そのご両親が仕事を持たれている家庭が非常に多くあります。子供さんの面倒を見ている僕らは、よく保護者の方からそういう声を聞きます。
次に、もう少し年齢が上がって小学校の高学年になったとき、どういった教育環境が整っているのかということも、1つの判断材料になってくるのかと思いました。我々のいるこの西宮北口を中心として、市内には学習塾が多い、これについてはいろんな是非があると思います。僕自身は学習塾にしろ、スパルタな進学塾にしろ、子供たち自身が学ぶことについて選択肢が大きければ大きいほど良いと思っています。だから、勉強に集中することも間違ってないだろうし、スポーツの方に集中してもいい。自然体験活動に力をいれている子供がいてもいいと思います。要は子供たち自身が主体的に選択できるような選択肢が、西宮市の中に増えていけば良いと僕は思うのです。
そして子供たち自身がいろいろな選択をきっちり受け止めることが出来る社会環境が必要となってくると思います。勉強が出来ることだけが全てではなく、人間性・人間力であったりという部分についても評価できる仕組みであったりだとか、そういったものも必要になってくるだろうと思います。
最近僕が評価しているのが大学入試改革なのです。少子化の中で、いろいろな入試制度が行われていますが、一部いろいろな批判があることは承知していますが、例えば、AO入試があります。私達は高校生に対しても海外のプログラムを提供していますが、それに参加する高校3年生の話をします。
彼らは我々のプログラムに参加して、海外に行くかどうか悩むわけです。つまり受験勉強もある一方で、フィリピンの貧困問題や、マレーシアのゴミ問題のような、日常知り得ることのない体験は今しかできないと、高校生達は自分の進路を悩んでいるのです。そういった高校生が自分で決意して、フィリピンやマレーシアに行き、そこで体験をしたことを大学が評価してくれるのがAO入試なのです。もちろん、高校3年生の夏休みに日本で机に向かって勉強することも良いことだとは思いますし、大切なことだと思うのですが、それだけではない人間性を評価される仕組みとして、AO入試というのは非常に素晴らしいと思っています。
こういったものが、大学だけでなくて、高校だったり、中学であったりというように、いろいろなところで勉強以外のところを評価するような側面を増やしていけば、学習する子は学習するし、そうではない子はスポーツや社会活動というようなものに力を尽くせると思うのです。
栗山:それは、すごく良いご意見ですね。是非検討したいと思います。2つ目のNPOとの関わり、また中間組織としての支援というか、組織としての確立など、その辺りのことについて一言だけお願いします。
能島氏:おそらくNPOの支援というのは、それぞれの組織のマネジメント能力を高めていくことがまず第1にあると思います。まだまだマネジメント能力が十分でない組織がたくさんあります。NPO発足のアイデアはみんな面白いので、それを具現化するためにも、マネジメントの面を上手くサポートすることによって、今後もいろいろなNPOが出てくるのではないかと思います。当然西宮市でも活動が広がっていくのではと思います。現状でも西宮市には他の市に比べても非常に個性的なNPOがたくさんあります。それらのNPOが、お互い協力し合いながら、どんどんマネジメント能力を高めていければ良いと思います。
その次には、NPOの信用力をどうやって高めていくかというのが課題になってくると思います。NPOは確かにどんどん増えていますが、中には怪しいNPOとか、反社会的な活動をしているNPOとかが全国的にも幾つか出てきています。どうしてもそういったところに社会の注目が集まりますから、本当に地道に活動しているNPOにとっては迷惑な話なのです。そういったところから、NPO法人の信用をどういう風に担保していくのか、そういった仕組み作りは必要だろうと思います。

5 西宮市議会議員 くりやま雅史に期待すること

栗山:ありがとうございました。それでは、最後に、私にとっては大変こそばゆい話になりますが、市会議員として4年目を迎えてようやく仕事が出来てきたかなと思っているところなわけですが、能島さんがもしご期待していただけるのでしたら、私に今後どのような役割をして頂きたいか、少し教えて頂きたいと思います。
能島氏:やはり、地元が甲風園だということが僕らとしては非常に話やすいし、心強いというのがあります。今まで通り、身近な市会議員さんとして活動して頂ければいいかなと思っています。もう1つは、やはり、なかなか政治の世界の中で20代や30代の意見が反映されにくいような状況があるんだろうと思います。若者の意見を代弁して頂けるような役割を担って頂けたら大変ありがたいと思っています。
栗山:わかりました。今後も能島さんから多くのご意見を聞かせて頂きたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

前兵庫県議会議員 くりやま雅史 - Special/2006年09月25日「くりやま雅史と語ろう」第2弾

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