兵庫県議会議員 くりやま雅史
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議会活動一般質問(兵庫県議会)2021年2月26日 一般質問内容

2021年2月26日 一般質問内容

1 放課後児童クラブのあり方について

【口述内容】
 今年1月7日、県内の多くの小学校や幼稚園などが始業式を予定していた日ですが、多くの地域で暴風雪警報が出て、小学校や幼稚園では多くが休校、休園となりました。その一方で、保育園では警報が出ているものの、両親ともに就労でやむを得ない場合は預かることができるとされており、実際には多くの子どもたちを預かっておられました。
 小学生の子どもを持つ保護者は、早朝に休校との知らせを受けて、朝から「子どもをどうしようか」と慌てふためき、両親ともに就労している家庭ではどちらかが仕事を休めないか、あるいは祖父母などに預かってもらえないか、あるいはお友達のご家庭に無理を言って預かってもらえないかなど、その対応に苦慮されたと保護者の方々から聞きました。このような声は以前からも聞いておりましたし、実際に我が会派の議員宅においても同様のことが発生していました。その一方で、私の家庭も含めて保育園に通う子供を持つ家庭や、預かり保育を実施している幼稚園では、いつも通り子どもを預かっていただき、両親の就労に影響を及ぼすことなく、普段通りの朝となりました。
 小学生と就学前の子どもたちで、なぜこのような差が生まれてしまうのかと私は疑問に感じ、今回は「小学生の預かりについて」、つまりは「放課後児童クラブのあり方」について、未来はどうあるべきなのかと思い、今回提言を含めて質問をいたします。

(1)早朝保育・休校時等の預かりの拡大について

 そもそも、小学生になると夏休みなどの学校休業時以外に「朝から子どもを預かる」という体制はありません。あるのは、その名前にもあるように「放課後の児童クラブ」だけです。保育園のように警報が出ても預かってくれる環境とは異なり、小学校ではそもそも朝からの体制が存在しないので、児童クラブ等で預かるという対応ができません。
 問題と言われる「小1の壁」の中で、保護者が「保育園と違ってとても困る!」と言われるポイントの一つが、平日にはこの「朝の預かりが無い」ということです。保育園では例えば7時30分には預かってくれていたのに、小学校では登校が8時頃になるなど、この30分が仕事に影響を与えており、多くの保護者の方は何とか職場の理解を得て勤務時間を遅らせるなどのやりくりをして耐えていると聞きます。
 ご承知の通り、一昨年10月からの幼保無償化をきっかけに、就労する女性が増えています。共働きのご両親が増加している中、子どもたちが小学校に上がることを不安に思っているとの声をよく聞きます。早朝と警報時等の預かりは、まさに今、その必要性が高まってきていると感じています。

 そこで質問します。現在の「放課後児童クラブ」での事業について、これは基本的には市町が主体の事業ではありますが、早朝にも拡大することを検討すべきではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いします。また、早朝にも拡大することによって、警報時や一斉休校などの時にも預かる体制を構築することが可能になると考えますが、休校時等の預かり体制についても検討すべきではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

【井戸知事 答弁】
 放課後児童クラブのあり方、特に早朝保育や休校時の預かりの拡大についてのお尋ねであります。「小1の壁」と言われますけれども、その要因には、いくつかの要因があると言われています。1つは、小学校就学後には、勤務時間短縮等の措置を設けている事業所が少なくなる、ということがまずあります。2つには、春休みとか夏休みなどの長期休暇中には、預かり先の確保とか、昼食の用意が必要になりますので、その部分、構わねばならない時間が増えます。3つは、保育所と比べ、宿題のサポートや学校行事、PTA活動など、平日に求められる保護者の役割が増加するなど、様々な事情があると考えられます。
 この「小1の壁」の解消には、ライフステージに沿った働き方のできる、子育てと両立しやすい柔軟な労働環境の整備が必要であることは言うまでもありません。また、放課後児童クラブをはじめとする様々な子育て支援事業の充実も図らねばなりませんが、学校行事やPTA活動などの保護者の関わり方の工夫など、基本的には社会全体で理解を深め、取り組む必要があると考えます。1つの事業だけではなかなか難しいのではないかと思っています。
 児童福祉法6条の3では、放課後児童クラブは、小学校に就学している児童であって、その保護者が労働等により、昼間家庭にいないものに、授業の終了後に適切な遊びと生活の場を与えるものと定義されておりまして、児童福祉法のこの定義を直すか、付加するような活動がご提案の活動に繋がります。
 ご提案の放課後児童クラブにおける早朝や緊急時の預かりは、急な出勤や突発的な警報の発令など、当日利用する児童数の把握が難しいこと、実際に実施に必要な放課後児童支援員等の確保と、それに伴う運営費や保護者負担の増加など、課題があることは間違いありません。
 これまでから、ファミリー・サポート・センター事業や、地域祖父母モデル事業などにより、各家庭のきめ細かなニーズにも機動的に対応できるよう取り組んできていますが、今後さらに市町に働きかけ、事業を一層周知して参ります。併せて、早朝や一斉休校など、このファミリー・サポート・センター事業や、地域祖父母モデル事業が対応できるかどうか、働きかけていきたいと考えています。
 ともあれ、コロナ禍で、テレワークや在宅勤務など働き方が多様化してきております。したがいまして、児童福祉法の規定に縛られない対応の是非も、可能なのかどうか、これも検討させていただきながら、放課後児童クラブの運営や子育て支援事業を推進して参ります。

【答弁後のコメント】
 ありがとうございます。紹介をさせていただきますけど、うちの子どもの幼稚園では、まさに先ほど紹介しましたが、警報の時にも朝の幼稚園の預かり、幼稚園は8時半からですけど、7時半から預かりをしているので、体制があるということで、警報でも、幼稚園は休園ですけど、既に預かっている体制があるので預かれるという、こういうことがあるんですね。ですので、同じように、小学校になると警報が出ると怖がって、保護者の方もびくびくされていたりするんですけど、そういう体制をやはりつくっていかないと、まさに今日、県も子どもが小学校に上がるタイミングでやはり退職するお母さんが多いということを問題視されていて、それを解消するという方向で示されております。まさにそういう部分で、こういう朝の部分を手当てしていかないと、なかなか退職を止められないんではないか、こんな風に思います。
 うちの迎山議員も、昔、放課後児童クラブのあり方については色々、長期休暇中、あるいは保育の質の質問もさせていただきましたが、色々な「小1の壁」、1個1個丁寧に見ていただいて、今後もまた未来志向であり方を考えていただきたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

(2)実施場所について

【口述内容】
 放課後児童クラブの目下の課題は、待機児童解消もそうですが、「人、場所、金」と言われています。「人」は、職員の配置数の問題、それに連動する保育の質の問題、そして職員の確保の問題です。「場所」は、学童保育を実施する場所です。「金」は、学童指導員の賃金の問題です。半数が年収150万円未満と言われています。私は今回、その3つのうちの「場所」について質問します。
 先日、私は地元西宮市の育成センター課と、地元の深津小学校の校長先生を訪ねて、学童保育の現状についてお話を窺いました。同小学校では現在の利用者は1年生から3年生で32%とのことで、今後も利用者が伸びることも踏まえて、定員200人の3階建ての施設を建設中でした。放課後児童クラブは基本的に一つの支援(クラス)の児童数を概ね40人以下としていますが、利用者が増加するたびに新たに施設を建設するのはコストがかかりますので、一度に5支援5単位分を建設することになったようです。その施設はとても巨大で、圧迫感がありました。新しい校舎か?と見まがうほどでした。建設コストは約3億円とのことで、県もその6分の1を負担しているわけですが、これは大きなコストです。建設場所は隣接する深津中学校の一部にもまたがっており、敷地についても苦慮していることが窺えました。
 厚生労働省の「新・放課後子ども総合プラン」では、学童施設の設置場所について、「新たに放課後児童クラブ又は放課後子供教室を整備等する場合には、学校施設を徹底的に活用することとし、新たに開設する放課後児童クラブの約80%を小学校内で実施することを目指す。なお、既に小学校外で放課後児童クラブを実施している場合についても、小学校の余裕教室等を活用することが望ましい」としています。実際に学校内にあるのは全国でも約半分と言われています。学校外では公民館や児童館などが利用されており、最近では学校内に敷地が取れず、小学校の周辺の空き店舗やマンションの一室などを利用するケースもあるようです。しかし、その前に考えて欲しいのは、厚生労働省のプランにありますように、まさに学校の教室や図書館などです。
 兵庫県の現状は、県内1,490支援数のうち、学校敷地内の専用施設が479で32.2%、学校の余裕教室を利用しているのは390で26.2%、合わせて58.4%で全国平均並みでした。先ほど紹介したような専用施設をどんどん建てていくのは負担が大きいと思います。今後も少子化が進んでいくと、いつかは利用する児童数が減っていくことは明らかですので、小学校の教室などを上手に利用する方が合理的ではないかと考えます。
 そこで、今後の放課後児童クラブの「場所」について、学校の施設を積極的に活用することを検討すべきではないかと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

【入江福祉部長 答弁】
 女性の社会進出が進み、小学生が放課後に安全・安心に過ごせる居場所である放課後児童クラブへのニーズが増大しております。本県におきましても、これまで計画的な整備・運営を推進して参りました結果、登録児童数、クラブ数とも年々増加傾向となっております。一方、少子化の進行に伴いまして、地域によっては放課後児童クラブの利用児童の減少でありますとか、学校の余裕教室の発生が予想されます。
 このような状況から、放課後児童クラブにつきましては、国の定める参酌基準を踏まえて各市町が策定する条例に基づき、地域の実情に応じた設備・人員・運営基準により運営できる仕組みとなっております。
 放課後児童クラブのニーズが増加する地域では、施設の新設を含め、受け皿を確保する必要がありますが、利用児童の減少や余裕教室が生じている地域では既存施設の有効活用が望ましいと、県としても考えております。そのため、新たに放課後児童クラブ等を整備する場合には、余裕教室の徹底的な活用を市町へ働きかけまして、施設の改修でありますとか、設備整備に要する費用の補助を行って、活用促進に取り組んでおります。
 県教育委員会の方でも、福祉部局等から相談があった場合は十分に協議・検討を行うよう、市町教育委員会へ働きかけておられます。学校施設の活用に当たりましては、責任体制の明確化の課題、例えば、施設の使用エリアと維持管理責任でありますとか、学校既存設備の利用方法、あるいは事故に係る責任範囲等の課題もあり、余裕教室を利用して運営しているクラブは、本県の全クラブの約3割となっているところでございます。
 今後も市町と連携を図り、地域の状況に応じて余裕教室等の既存施設の活用が更に図られるよう、放課後児童クラブの整備を推進して参りますのでよろしくお願いいたします。

【答弁後のコメント】
 教育委員会としっかり協議されているということでお聞きしましたので、安心しました。そういう答弁をいただいたので、西上教育長、これからこの福祉部局や私の考え方も含めてしっかり受け止めていただいて、今後も施設の利用をさせていただけるように、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。

2 高校生の学校生活について

 本年1月に県教育委員会が実施した高校の新入生アンケートでは、「高校の魅力・特色を高校選択の理由にしましたか?」や、「現在、あなたの高校生活は充実していますか?」などの設問が5問あり、最後の6問目に「その他、学校に期待すること」という自由記述がありました。その中でやっぱり意見が出たなと感じたのが「スマートフォンの規制緩和」、そして「ユニセックスな制服」などという記述でした。

 以前からスマホの利用については学校ごとに定められたルールや制限などがあり、高校生たちから不満の声を聞くことがありました。「規制緩和」と言う表現だったことから、まさに今「規制されている状況」であることが窺えました。また、ユニセックスな制服については、その必要性について新聞等の報道でも拝見していました。今では一定数の性的マイノリティの方々が存在していることを私たちも十分認識する中で、このアンケートでそのような声があったと知った時に、やはりその必要性についてきちんと考え、対応してあげないといけないなという気持ちになりました。
 私は大学生をインターン生としてこの18年間、定期的に受け入れておりますが、元高校生だった彼らに高校時代のスマホや制服の事情について実態を聞いてみると、スマホの取扱いについては学校ごとで異なる取り扱いをしていました。また、ユニセックスな制服についてはあまり備えられていないという印象を受けました。
 今回は高校生のスマホ、そしてユニセックスな制服をはじめとした性的マイノリティへの配慮についての2つの質問をしたいと思います。

(1)スマートフォンの取扱いについて

 先ほど申し上げた元高校生たちの私独自のアンケートでは、例えばスマホ・携帯電話の持ち込みについては可とするところが多かったのですが、学校で使ってよかったかと聞くと、「電源は切るように言われて使えなかった」学校もあれば、「授業時間外の休憩時間などは可とする」学校もあり、他には「特にルールは無く、使用可とする」学校などバラバラでした。授業中に携帯が鳴ったり、廊下などで使用しているところを先生に見つけられると没収されることもあったとか、その一方でゲームアプリをやっていても黙認されていたりと、学校や教師の対応にも違いがあったようです。また、緊急で連絡を流すときにLINEグループを利用するなど、どうしてもスマホが無いとコミュニケーションが取れない事態もあったようで、その結果生徒全員がスマホを持つことになり、学校や生徒がコミュニケーション手段として利用することもあったようです。

 県教育委員会が令和元年度に実施された調査結果では、県立高校147校のうち、未だに持ち込みも禁止している学校が6校ありました。使用については「登校から下校まで使用できない」が88校、授業時間以外なら使用可が27校などとなっていました。スマホなどの活用について「生徒会など生徒が主体的にルールを作っていますか」の問いには、「作っていない」が93校、「検討中」が32校、「作った」が21校となっており、使用についてのルールがある方が少ない状況でした。以上のように、取扱いについては学校の方針によってまだバラバラで、兵庫県下で統一はされていないということがわかりました。文部科学省から令和2年7月に携帯電話の取り扱いについて通知が出ているものの、県立高校の方針についてはまだ試行錯誤中、整備途上という印象を受けました。

 現在、ICTを活用した教育がどんどん進められています。令和4年度の新入生からは全生徒が何らかのタブレット端末を持つ時代になっていきます。タブレット端末もスマホも形や大きさは違えど、小さなコンピューターであることには違いありません。将来、授業でタブレット端末は使うけど、持ってきた携帯・スマホは使えないというのは、どうもちぐはぐな状況だなあと感じます。これからは、「情報モラル教育」をきちんと実施したうえで、スマホやタブレットの使い方に節度を持ち、使い分けをするなど適切な取扱いができるよう教育し、一定のルールを設けることが重要なのではないでしょうか。

 東京都教育委員会では、2019年にこれまで禁止としていた都立高校への携帯電話やスマホの持ち込みを容認し、学習での利用など必要に応じて校内での使用も解禁しています。また、大阪府や広島県などの公立校でもスマホを巡るルールを規制緩和する動きが広がっています。
 高校生の約97%がスマホを利用していると聞きます。今こそ未来を見据えて規制を緩和し、学校や生徒に任せるのではなく、時代の変化や実態に合わせた方針を県教育委員会として打ち出すべきではないかと考えますが、ご所見をお伺いします。

【西上教育長 答弁】
 学校は、教育目的を達成していく場ということから、その教育活動に直接必要のないものを持ち込むことは好ましくないと考えておりますが、学校のきまりにつきましては、各学校の実情がありますので、それらに照らして定めるべきと考えております。したがって、教育委員会として画一的な通知を出しているわけではありません。
 ご質問のスマートフォンにつきましては、過去にいきますと平成21年にいじめ対策の一環としてスマートフォンが取り上げられましたので、国の通知を受けまして、高校につきましては、1つとしては、校内での使用は、学校や地域の実態を踏まえ、学校での教育活動に支障が生じないようまず制限すべきであります。一方、単に使用制限するだけでなく、情報モラル教育を充実するなど、使うことについても当然言っているところであります。現在、校内でスマートフォンの使用を禁止している学校におきましても、小テストの解答、授業評価、資料配布等で活用しておりますので、授業での活用も行われているところであります。
 今後、各学校におきまして、ご紹介のBYODの導入が始まりますので、教育活動で活用するタブレット端末等と、私的な通信として活用するスマートフォンの機能を明確に分けて、新たな運用のルールを定める必要があると考えております。あわせまして、情報モラル教育も重要となります。入学時等には警察、携帯電話会社等と連携し、適切なルールに基づいて使用する態度を身につける講習会、講演会等に引き続き取り組んでいくとともに、教科横断的に指導する必要がありますので、教員の資質向上にも取り組んでいきます。
 今後とも、校則を初めとして生徒に関するきまりにつきましては、必要に応じて見直しを行いますとともに、その際には生徒の参画を促し、生徒が自立してそれらを考えるそういった姿勢を育む場としていきたいと思っています。

(2)性的マイノリティへの配慮について

 生まれた時の外観や検査などで判断される「身体の性」と、自分が自覚している「心の性」は、必ずしも一致するものではないことについては、もはや周知のことと存じます。周囲とは違う自分に違和感を持ちつつも、誰にも相談できずに悩んでいる人が一定数存在しています。制服というのは、まさにその悩みの種の一つでもあるのではないでしょうか。男子なら学ラン、女子ならセーラー服・スカートという選択肢しかない状況が、性的マイノリティの生徒たちを苦しめていることは想像に難くありません。
 県教育委員会に、「女生徒がズボンを選択できる学校は県立高校147校のうち何校ありますか」と尋ねますと約30校とのことでした。約2割です。それも生徒自身が声をあげたから備えたとの説明を聞き、彼らがどんなに勇気を振り絞って先生に相談したのだろうかと思うと、とてもつらい気持ちになりました。

 2015年4月に文部科学省から通知された「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細やかな対応の実施等について」では、学校生活の各場面での支援を求めています。制服や体操服などの服装だけでなく、更衣室やトイレ、呼称の工夫、性別で分けられる体育の授業など、支援や配慮をすべき事例が挙げられています。
 今回の高校生アンケートで、学校に期待することとして「ユニセックスな制服」という記述があったことは、性的マイノリティの生徒たちなどが日々悩んでいる切実な想いではなかったかと私は感じました。性的マイノリティの生徒たちなどが苦しまないような配慮を、学校ごとの判断ではなくて、また相談を受けてから動くというのではなくて、一定数の性的マイノリティの存在を前提に、県教育委員会として積極的にその配慮と取組みを進めていくべきだと考えますが、県教育委員会のご所見をお聞かせいただきたいと思います。

【西上教育長 答弁】
 性的マイノリティへの対応については、学校全体で取り組むものと、個別の事案に応じたきめ細かな支援を行う、この2つの柱で取組んでいます。
 県教育委員会では、学校全体の取組として、何よりも生徒が相談しやすい環境を作る、このことを進めています。そして、心の性と異なる性別に違和感を持つ生徒の精神的苦痛を軽減するために、不必要な性別欄の削除、また、男女混合名簿の導入、こういうことを、学校に対して働きかけています。
 一方、当該生徒への個別の配慮に当たっては、一つとして、心の違和感の強弱の程度も個人により異なっている、また、時間の経過とともに変動があり得るものとされておりますし、ご紹介いただいた文科省通知にも、「学校での支援に当たりましては、当該生徒への配慮と、他の生徒への配慮との均衡をとりながら支援を進めることが重要」とありますように、この点に十分留意しながら、その時々の状況等に応じて、例えば、必要であれば、服装、またはトイレの取り扱い、更衣の際の配慮など、当該生徒の不安や悩みをしっかりと受け止めて、各学校で対応することが必要と考えています。
 県教育委員会としては、このため、率先して一律の見直しを行うことには慎重であるべきと考えていますが、例えば、各学校で、ご質問にありました制服を見直す、こういうような機会には、当然、生徒や保護者の意見も十分取り入ながら検討することを働きかけています。引き続き、国の動向に注視しながら、すべての生徒が安心して学校生活が送れる環境づくりを進めていきます。

【答弁後のコメント】
 今の答弁はとてもネガティブに感じました。そういう方たちは、人権ジャーナル「きずな」で読んだりすると、やはり言い出せないそうです。まず自分がどういう状態であるか分からない。そう悩んでおられて、どうしたら良いのかと、相談もしたいが、相談したらそれを誰かに言われてしまうのではないか、あるいは、人間関係が崩れてしまうのではないかとの悩みを持たれているということなどが書かれています。
 相談する体制を作られると言われましたが、相談すること自体が心情的に大変なので、相談をせずとも、そういう体制を作っておいてあげてほしいというのが私の思いであります。そういった方が一定数いるのだということは、もうすでに分かっていることですから、そういうことを前提に対応していただけないかという思いを込めて質問させていただきました。
 情報誌「きずな」によると、人口の8.9%いるというふうに書かれてありました。私の認識では5%くらいはいらっしゃるとは思っていましたが、正確な数値は分からないにしても、一定数いらっしゃるということですから、制服の見直しなどのタイミングはもちろんですけれども、それぞれの悩みを受け止めてから動くというのではなくて、そういう方がいるのだということを前提にという、考え方を少し変えていただいて、適切な対応をしていただきたいなと、私は思っています。要望とさせていただきます。

3 若者等の転出超過に対する施策のあり方について

【口述内容】
 県はこれまでに、若者を中心とした社会増対策として、およそ5年〜6年前くらいからでしょうか、UJIターン施策やカムバック関係施策、県内企業への就職の促進、e-県民制度などの県民愛着醸成など、多くの施策を展開してきました。施策の種類や数も増え、多額の税金をつぎ込んできましたが、毎年何千人単位の大きな転出超過の報道を見るにつけ、これまでの施策は十分な結果を残してきたのかと疑問に思うところです。施策によって兵庫に戻ってきた、あるいは兵庫に定着したといえる効果は少なからずあったとは思いますが、何千人単位の大きな転出に比べ、その結果は桁が違う小さなものであったと断じざるを得ません。
 そもそも転出超過対策をするのはなぜでしょうか。兵庫県全体の活力を維持することや、トータルとしての県民人口の減少を食い止めるためでしょうか。そのための施策を展開してきて、結果が芳しくないのであれば、そろそろ施策の内容の見直しはもちろんのこと、施策を実施する是非や、方向性を変えるということについても検討せねばならないのではないでしょうか。
 私は、県が進めている東京や大阪へ就職していく若者を引き留めようとする施策には一定の理解はしつつも、実は違和感が残っていました。夢を持って、自分のやりたい仕事がそこにあって、意欲高く都市部などへ行くことは、ある意味若者の挑戦であり、県として同郷の若者を応援してあげるべきではないかと思っていました。女性については特に引き留めようとする思いが強いように感じますが、それも気持ちは理解しますが、少し未練がましいようにも感じます。「去る者は追わず、来るものは拒まず」という言葉がありますが、県は去るものを追いかけ続け、結果として捕まえ切れていないのではないでしょうか。去る者には応援をし、一方の来る者についてもっともっと歓迎して呼び込む方が良いのではないでしょうか。
 2016年の予算特別委員会で、私は県内大学に入学する学生の約半数が県外出身者であることを示しました。その中でも、中国地方や四国、九州などの西日本各地から多くの学生が来てくれています。「せっかくのご縁で兵庫県内の大学に入学してくれたのだから、県内定着を図って欲しい」との質問に対し、県は「その取り組みは重要な対策の一つだ」と答弁され、「県内企業を知ってもらい、働いてもらうこと、兵庫で暮らすことに魅力を感じてもらえるように取組む」とも答弁されました。その結果はどうだったのでしょうか。それと同時に、県外から兵庫県内に就職をしてもらい、県内に定着してもらえるような社会増への取組みも重要だと思いますが、これについてもどのような状況なのでしょうか。東京から引き戻すばかりではなくて、全国各地に対しても「兵庫県に来ませんか」と呼びかける施策を積極的に展開し、転入してもらい、そして兵庫県定着を図る必要性もあるのではないでしょうか。
 そこで、これまでの転出超過対策としての各種施策について総合的に評価し、総括していただくとともに、「転入・定着促進施策」を含めた今後の若者等の転出超過に対する施策の在り方について当局のご所見をお伺いします。あわせて、今回の予算案で、「転出者への転出要因分析の実施」という新規施策がありますが、これには大いに期待しています。どのような分析をするつもりなのか、その結果をどのように活かすおつもりなのか、ご所見をお伺いしたいと思います。

【井戸知事 答弁】
 本県の社会減の大半は、就職による若者の首都圏等への転出であります。この流れを止めるために、第一期の戦略では、学生への地元企業のガイドブックを配布することによる周知徹底や企業と連携した奨学金の返済の免除する支援などに取り組んでいます。ふるさと意識の醸成など、成果が出るまで時間を要する施策もありますが、5カ年の実績としてはご指摘のように大きく好転はしていません。
 また、質問のなかでも触れていただきましたが、兵庫県の大学生の出身地を調べますとその1/2が本県出身、その1/4が関西、その1/4が中四国など西日本となっています。令和2年は東京圏への流出が2,500人前後改善しましたが、ほぼ同数、西日本等からの流入が減少してしまいました。従いまして、やはり西日本に対する流入対策の重点化も必要であると考えています。この点更なる対策を行う必要がある。十分に検討してまいります。
 学生対策としては、日本や世界を舞台に活躍できる人材を引き留めるのはいかがかと思っています。喜んで送り出しておりますけれども、問題は学生の6割が県内就職を希望しているということであるにもかかわらず、県内就職率が3割弱にとどまっている点です。これは就きたい仕事が県内にないのか、又、見つからないのかということであります。特に女性の流出率が高くなっています。
 こうした現状を踏まえ、まず大卒生など若者や女性が希望する事務系職種を増やす必要があります。そのためのオフィスの立地の支援やIT企業などの誘致に重点を置いていきます。パソナの淡路移転は兵庫県にとっても大きな力になります。さらに、企業と若者を結ぶマッチングサイトを充実していかなければなりません。マッチングは非常に重要です。三番目に、大学と連携したインターンシップを充実してまいります。四番目に、県内で活躍されている女性をロールモデルとして、その交流会などを実施して、女性の方々にロールモデルのようになりたい、という気持ちを持っていただくような事業を展開して参ります。このような事業の展開により、県内就職率の向上を図り、その就職を期待しています。
 一方、首都圏等に就職した学生の3割が3年で離職しています。コロナ禍における地方回帰の動きも踏まえて、ひょうご移住プラザで就労相談の充実や県内大学の東京オフィスとの連携等にも留意して、第2新卒等の県内企業への転職を促します。
 また、就職・進学以外での転出要因として、住宅取得や結婚なども考えられますが、その実態が十分に把握できていませんので、来年度市町と連携してアンケート調査を実施する予定です。若者向け住宅の不足といった事象が確認できれば対策を行っていきたいと考えています。
 この一年でテレワークが普及し、多様な働き方が可能になりました。この機を逃さず、第二期戦略の5カ年で若年層の転出超過の流れに歯止めがかけられるように努力をしてまいります。これからも、各種の提言よろしくお願いします。

前兵庫県議会議員 くりやま雅史 - 議会活動/一般質問(兵庫県議会)/2021年2月26日 一般質問内容

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